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岐阜地方裁判所 平成7年(わ)35号 判決

本店所在地

岐阜市東川手四丁目六番地の一

森電工株式会社

(右代表者代表取締役 森聖路)

本籍

岐阜県羽島市正木町新井七九八番地

住居

同市正木町須賀一九二四番地

会社役員(森電工株式会社前代表取締役)

森泰彦

昭和一五年四月二九日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官牧野忠出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人森電工株式会社を罰金一六〇〇万円に、被告人森泰彦を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人森泰彦に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人森電工株式会社(以下、「被告会社」という。)は、岐阜市東川手四丁目六番地の一に本店を置き、電気設備工事、冷暖房空調設備の請負等を目的とする資本金五〇〇〇万円の株式会社であり、被告人森泰彦は、被告会社の代表取締役(当時)としてその業務全般を統括していた者であるが、被告人森泰彦は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空外注加工費を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  平成二年一〇月二一日から平成三年一〇月二〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二七八三万五七三七円であり、これに対する法人税額が四二四四万八一〇〇円であるのに、平成三年一二月一九日、岐阜市加納清水町四丁目二二番地の二所在の所轄岐阜南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五七五一万六八七三円であり、これに対する法人税額が一六〇七万八五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額二六三六万九六〇〇円を免れた

第二  平成三年一〇月二一日から平成四年一〇月二〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億〇〇九三万八一四二円であり、これに対する法人税額が三三〇〇万二六〇〇円であるのに、平成四年一二月二一日、前記岐阜南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五二四三万六七八七円であり、これに対する法人税額が一四八一万四四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一八一八万八二〇〇円を免れた

第三  平成四年一〇月二一日から平成五年一〇月二〇日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八六〇五万四一八一円であり、これに対する法人税額が二九四二万円であるのに、平成五年一二月二〇日、前記岐阜南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一六八万九八八八円であり、これに対する法人税額が一二七八万三二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額との差額一六六三万六八〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人本人兼被告会社代表者(当時)森泰彦の当公判廷における供述

一  被告会社代表者森聖路の当公判廷における供述

一  被告人森泰彦の検察官に対する供述調書

一  被告人森泰彦の大蔵事務官に対する質問てん末書六通

一  長谷山三千代(二通)、棚橋裕美子、森章、髙橋信雄、石神伸子、森典子(二通)、小森登起子、山口町子、森田加代子、木島章、片野隆、山下泰二の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(記録証第二〇九号、第二一〇号、第二一二号ないし第二一八号)、証明書(記録証第二五二号ないし第二五五号)

一  登記官作成の登記簿謄本二通

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二二一号、第二二五号、第二二九号)、脱税額計算書(記録証第二六〇号)

判示第二、第三の事実について

一  検察官作成の捜査報告書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二二二号、第二二六号、第二三〇号)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の証明書(記録証第二二三号、第二三一号)、査察官調査書(記録証第二一一号)

(法令の適用)

被告人らの判示各所為は、各事業年度毎に法人税法一五九条一項(被告会社については、さらに同法一六四条一項)に該当するところ、被告会社については情状に鑑み同法一五九条二項を適用し、被告人森泰彦については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社については、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で罰金一六〇〇万円に処し、被告人森泰彦については、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で懲役一年に処し、被告人森泰彦に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 岡部信也)

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